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先日、ピアニスト黒瀬紀久子さんのコンサートを聴きにいった。
彼女は、実は子供のころ、私と家がすぐ近くで、同い年なので、幼稚園と小学校も同級生なのである。
黒瀬さんは、NPO法人「クラシックファンのためのコンサート」を主宰されていて、毎月大阪で市民のための無料コンサートを開いておられる。

先日は、黒瀬さん自らのピアノリサイタルだった。
曲はバッハのインベンションとシンフォニアの全曲。

この曲は、バッハの鍵盤曲の中では比較的よく知られた曲だと思うが、一般的にピアノ学習者の練習用の曲というイメージがあって、(実際、バッハは、自分の息子達の学習用にこの曲を作曲したそうだ)、あまりコンサートで弾かれることはないと思う。
私もチェンバロ演奏のCDは持っているが、生のコンサートで、しかもグランドピアノで聴くのは初めてであった。

そして聴いた印象としては“瞠目”の一言につきる。
これらの曲が、単に練習用の曲ではなくて、深い内容を包含していることは、以前からなんとなく感じていたので、今回のコンサートは期待していがた、これほど力強くてファンタジーに満ちたものであるとは、私の想像をはるかに超えたものだった。
音楽って、やっぱりすごいなあと思ってしまった。

それに、生のコンサートというのは、とてもいいものだ。やはり感銘の度合いが、CDなとどは全く違う。
神戸でも、これと同じように、市民が気軽に聴きに行けるコンサートがあるといいなあと思う。

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「クラシックファンのためのコンサート」の活動と、これからのコンサートの予定については、
http://www.classicfan.jp/index1.html
をご覧ください。
     
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つげ義春のこと(2)

2009/11/02 Mon 14:39

もうすこし、つげ義春のことを書こうと思うのだけれど、彼について、こんなことが書かれているのを読んだことがある。

(つげ義春「蟻地獄・枯野の宿」(新潮文庫)の高野慎三氏の解説の文中)

『かつて著者(つげ義春)は、私(高野氏)の質問に答えて、創作意欲というようなものはない、と言い切った。「自分は金があれば描かないんです」ということであった。
だが、この「金があれば」ということばを経済的に余裕があるという意味にとらえると大間違いである。著者にとって、(中略)大金はほとんど意味をなさない。したがって「金があれば」というのは、「生活できれば」ぐらいのことだ。』

へえ、そうなのか、と私は思った。
しかし考えてみると「創作意欲」っていうのは、いったい何なのだろう。
もの作りに携わっている人には創作意欲が必要不可欠のものであると、世間の大抵の人が思っている。
しかし本当にそうだろうか。

本当に必要なのは、創作能力であって、創作意欲ではないのではないか。

ひるがえって、自分の建築設計という仕事を考えてみたとき、そう思うのだ。
なまじ創作意欲などというものがあるから、施主のお金でつくる施主の住まいにおいて、自分の表現意欲を満足させようというような、そしてそれを世間に売り込もうという

ようなスケベエ心が働くのではないか。

建築家に必要なのは、知識と経験と理解力と責任感であって、創作意欲(ましてや表現意欲)などというものは無い方がいいのではないか、そんな気がする。


なお、つげ氏は1986年に49歳で「無能の人」6部作を書き終えたあと、2,3の作品を書いたのを最後に、現在まで20年以上、新作を一切発表していない。
それは、彼の作品がそのころ認められて、文庫本化などされ、それによってきっと「金がある」=「生活できる」状態になったからだろう。
そういうクールさが、私はやっぱり好きだ。
そういう彼の“生き方観”とでもいうものは、やはり彼の漫画作品(中でも「無能の人」6部作)に色濃く表れ、読む私を安心させてくれるのだ。

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つげ義春のこと(1)

2009/11/01 Sun 14:37

私は漫画とか劇画というのは、あまり読まないのだけれど、だだ一人、大好きな漫画家がいる。
つげ義春である。

彼のことを知るようになったのは、竹中直人が監督&主演をした映画「無能の人」(1991年)のDVDをレンタルで借りて見てからである。
この映画が、たいへんおもしろかったので、原作の漫画を買って読んでみた。
そしたら映画以上におもしろく、強く惹かれてしまった。

映画の原作になった「無能の人」6部作(「石を売る」「無能の人」「鳥師」「探石行」「カメラを売る」「蒸発」)は、ある意味で、私の人生ののバイブルでもある。
というよりも、主人公の助川助三は、私そのものであるような気がするのだ。

tsuge.jpg


その他にも「紅い花」「義男の青春」「海へ」「ほんやら洞のべんさん」「長八の宿」「池袋百点会」など、詩情とペーソスにあふれ、たかがマンガなのに何度読んでも飽きない。
私の好きな浅田次郎の短編小説(たとえば「霧笛荘夜話」)や、劇団ひとりの「陰日向に咲く」などと共通するものを感じる。

まだ読んだことのない方は、ぜひ読んでみてください。

(ただ、私の妻などは映画「無能の人」を見て、「何、この貧乏くさい映画。貧乏がうつる~、いや、いや!」」と散々だったが・・・。)

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