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すこし前に、ちょっとショックなことがありました。
ある音楽家の方と話をしていたとき、その方が別の音楽家から「防音室なんてだめよ、そんなの作るとかえって音が悪くなるから」と言われたというのです。
防音室を作る仕事をしている者としては、ちょっとショックなんですが、わからないでもありません。実際、そんなケースが多いのです。

私の設計室では、本当は「防音室」を作るのではなく、「音楽室」をつくることを目的として仕事をしています。“音楽を”、いつでも気兼ねなく、“良い音”で思う存分に楽しめることが目標です。
ですから「防音」(正確に言えば「遮音」)というのは、そのための一手段にすぎません。遮音をすると同時に、その部屋の音響についても、常に考えて「音楽室」作りをしています。

でも、世の中には、音楽のことや楽器のことが全くわかっていないのに防音工事を仕事にしている、レベルの低い工事屋が無数にあって、そんなことろは、ともかく音を止めればいいんだろ、遮音すればいいんだろ、という感覚で、室内音響がどうなるかなどということなど殆ど考えずに工事しますから、始めに書いたような、防音室を作ったら、かえって音が悪くなったということが、あっちこっちで数多く発生しているんです。

本当に嘆かわしいことですが、日本においてはそれが現実。
どうか、音楽家の皆様は、間違ってもそのような所に工事を依頼しないように、気をつけてください。
もう一度言いますが、「防音室」を作るのではありません、「音楽室」を作るんです。
「音楽室」を作れる人に依頼しないといけません。
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メリハリのある家

2018/10/19 Fri 12:26

 「メリハリ」というのは、元々は伝統的な音楽用語で「減り張り」と書き、広辞苑によるとと書いて「ゆるむことと張ること。特に邦楽で、音の抑揚をいう。」と説明されている。ここから転じて、現代では物事の強弱などをはっきりさせることも意味し「メリハリをつけて仕事をする」「生活にメリハリをつける」などと言って、「張るところと緩めるところの区別がきちんとしている」という意味で用いられているようだ。
 
 私は住まいにおいてもメリハリがある方が良いのではないかと最近思っている。しかし世間に建てられている住宅を見ていると、外観から始まって玄関から入ってリビングもダイニングも寝室も、通り一遍の抑揚のない住宅が多くて、どうも物足りなく感じる。
これは建築家が設計した住宅でも、巷の分譲住宅でも、それぞれのコンセプトは違っていても、個々それぞれにおいては通り一遍さを感じるのだ。

 私は建物の外観というものは公共に資するべきで、町並みや風景に違和感のない、美しく品性を感じられるものであるべきだと思っているが、内部はもっともっと自由でよいのではないか。 そして、それぞれ部分部分で変化、つまりメリハリがあってもいいのではないかと思う。

 たとえば、リビングダイニングは思いっきり明るくて天井も高くて溌剌とした空間であるが、寝室に入ると一転して穏やかで陰影のある落ち着いた雰囲気になるとかというメリハリだ。あるいはリビングやダイニングは、きちんと整理整頓されているが、書斎や趣味室などにはいると思いっきり自由な乱雑さが許されているとかいうのも良い。
 あるいは、リビングなどは庭やテラスと一体化して、鳥の声や風の音も感じられる、外部と融合した空間づくりであるのに対して、家の奥の方には防音が施され、窓なども最小限で、外界から隔絶された別世界にような空間があるとか。

 そういったメリハリのある家に住んでみたいと思うし、創ってみたいと思う。まあこれは、私が常日頃、パートナーから「部屋を片付けなさい!」「晴れているのに、窓を開けなさい!」「ガタガタ物音立てないで!」と叱らている反動でもあるが。
 それにしても、メリハリのある住まいというのは、いいなあと思う。
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