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(この記事は、2011年10月にMIXIに投稿した記事の再録です。)
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バロックチェロについて

先日、神戸のホテルオークラのチャペルで古楽器によるコンサートがあったので、聴きに行ってきました。ルネサンスからバロックまで、いろんな曲が取り上げられましたが、トリはバッハのブランデンブルク協奏曲第4番でした。
リコーダーやヴァイオリンなどのソロ楽器だけでなく、合奏部も各パート一人のオリジナル編成で、チェロももちろん正真正銘のバロックチェロでした。

それを聴いていて、何年か前、あるアマチュアアンサンブルのコンサートを聴いたときのことを思い出しました。
神戸の布引にある「森のホール」という木造りの、わりと小さなホールでのコンサートだったのですが、その中で、クヴァンツのトリオソナタハ長調が演奏されました。
ピッチはA=440のモダンピッチで、編成はアルトリコーダー2本、チェンバロ、チェロ(モダン楽器)でした。

そこで私は、たいへんな違和感を感じました。
リコーダーとチェンバロは、モダンピッチとは言え、楽器のつくりはバロック時代と変わっていません。
この2者(3楽器)に対して、モダンチェロだけ“音”が違うのです。音の性質というか、音の有り様(ありよう)というか、そういうものが違うのです。

言葉では、うまく表現できないかもしれませんが、あえて表現してみますと、リコーダーとチェンバロは、それらの楽器から発せられる音が、先ずその周囲の半径2メートルくらいの空気を振動させて、その空気の振動がホール全体に広がるとともに、聴き手の耳に届くという感じ。
それに対してモダンチェロの方は、楽器で作られた音が、ストレートに放射され、直接音として、そのまま聴き手に届くという感じ。

いうなれば、リコーダーとチェンバロは、それらの楽器が震わせた、空気の震えを聴いている感じなのに対して、モダンチェロは楽器から発せられた音波そのものを聴いている感じとでもいえましょうか。
そういう音の性質あるいは有り様が違っているのに、それらが一つの曲において同じ空間で鳴っていることが、私に大きな違和感を感じさせました。

先日のコンサートでは、すべてがバロック楽器でしたから、そのような違和感はなく、チェロなどは、(ヴィヴァルディのチェロソナタも演奏されましたが、)こんなに大人しく、むしろ慎み深い楽器なんだな、という思いでした。

チェロというと、私にはドヴォルザークのチェロ協奏曲とか、ベートーヴェンのチェロソナタ3番とか、あるいはカザルスの弾くバッハの無伴奏などの印象が強くて、押しの強い、これでもか、どうだまいったか、というようなイメージを持ってしまうのですが、少なくともバロックチェロに関する限り、それとは正反対とは言わないまでも、かなりちがった音楽性を持った楽器だと思います。
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