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建築家であり 音楽愛好家でもある 私の雑記帳

クラシックのコンサートに一度も行ったことがないようなオッチャンが   音楽レッスン室の防音工事をしているという現状


前回、"外に対する防音だけでなく、内に対する防音もしっかりと行う"ということを書いたのですが(その記事はこちら)それとともに私どもへの相談で多いのが「部屋を防音したら、今までよりも音が悪くなった」という相談なのです。

普通の部屋を、防音工事を行うことによって、きちんとした音楽室にしようとしたのに、よもやそれによって、かえって音が悪くなることがあるとは、皆さんは思ってもみないかもしれません。でも遮音はよくなって近所に対する音漏れは少なくなったけれど、ピアノの音がカスカスした音で全然響かなくなってしまったというケースは、かなり多いのです。

その原因は、たいていの場合、不適切な吸音材の使用なのですが、それ以前の問題として、そもそも防音業者の中には、音楽についての知識や素養が全くない者が、たいへん多いということがあります。そのような業者は、音が外に漏れないようするという遮音のことは考えていても、音楽室内部における「楽音(がくおん)」について全く念頭にない人がほとんどです。

皆さんは、防音工事をする業者ならば、ある程度の音楽的素養は持っているだろうと思っているかもしれませんが、実は防音工事を行っている業者の中には、道路からの交通騒音や、飛行場の近くの騒音を防ぐという工事から入った人が多く、そのような人は音楽についての知識や感性が全くない場合が少なくありません。実際、クラシックのコンサートへ一度も行ったことがなかったり、グランドピアノの音を間近で聴いたこともないようなオッチャンが、音楽レッスン室の工事を行っているというのが、ほとんどなのです。

そのような業者は、音楽的な良い音、良い響きというものがどのようなものなのか全くわかっていませんから、ただ遮音をすることだけしか頭になく、そのために室内の壁や天井にやたらに吸音材を使用して、楽器の音を殺してしまうということを平気でしてしまうのです。

そもそも音楽室を作る目的は、そこで良い音や良い響きを楽しむためであって、遮音対策もそのための有効な手段の一つですが、それと同じくらいか、あるいはそれ以上に大切なのが室内音場(音質や響き)の調整です。しかし、そのことが全くできない(というよりそのことが念頭にない)防音工事屋が本当に多いのが、この業界の現状なのです。

ですから皆さんが"音楽室のための"防音工事を依頼するならば、必ず「音楽を分かっている人」に依頼しなければなりません。そうでなければ、失望的な結果になります。どうかその点に、くれぐれも気をつけていただきたいと思います。
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プロフィール

 遠藤 真

Author: 遠藤 真
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建築家(一級建築士)
建築音響アドバイザー
兵庫県神戸市在住
遠藤 真・安田倫子 設計室
主宰
http://www.me-arch.jp/
Eメール: endo@me-arch.jp
あしたの住まい・設計フォーラム
代表
------------------
音楽演奏家(アマチュア)
主にバロック音楽奏者として
ヴィオラ・ダ・ガンバ
フラウト・トラヴェルソ
ブロックフレーテ(リコーダー)
を演奏
神戸ホルボーンアンサンブル主宰
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