段ボール防音室の遮音性能
2014-10-23
段ボール製の防音室というものが売られているのをご存知でしょうか。
いくつかの会社から似た仕様のものが売り出されているようですが、たとえば「だんぼっち」などという製品が代表的なもののようです。http://www.danbocchi.com/ で見ることができます。
ところで先日それらのうちの一つのサイトを見ていましたら、その段ボール防音室の内部での音量が90dB(デシベル)だったものが、その外側(防音室から1メートル離れたところ)で測ったら60dBになっており、すなわち30dBも音が小さくなりました、ということが書いてありました。
これだけ見ると、その段ボール防音室の遮音性能(透過損失)が、30dBあるように受け取れます。
30dBの遮音性能というと、どれくらいかというと、ヤマハのアビテックスの普及タイプの遮音性能が30dBなんです。
つまり段ボール防音室は、アビテックスと同程度の遮音性能がある!・・・ということになるんでしょうか?
(ちなみにアビテックスの値段は、最小の0.8畳のものでも約50万円しますが、それと同程度の大きさの段ボール防音室の値段は約8万円。)
問題は、段ボール防音室の音量の測定方法にあります。
まず室内での音量が90dBだったということですが、音源は何でしょう。そしてその音源からどれくらいの距離のところに騒音計を置いて測ったのでしょう。
仮に音源が防犯ベルとか目覚まし時計のようなものだったとして、その音源から10センチのところに騒音計を置いて測ったとしましょう。その測定値が90dBであることは、十分ありえることですので、これについては何も問題はありません。
問題は防音室の外で測った時のことです。1メートル離れて測ったということですので、音源(防犯ベルとか目覚まし時計)がその防音室の中央くらいに置かれていたとすると、音源と騒音計との距離は約1.6メートルくらいと思います。
ところで音というものは、当然のことですが、音源に近いところでは大きく聞こえ、そこから離れるにしたがって小さく聞こえます。数値としては、音源との距離が2倍になると、6dB下がります。
すなわち音源から10センチのところでの測定値が90dBだったとすると、20センチのところでは90-6=84dBになるのです。距離が2倍になると6dB下がるのですから、音源からの距離が40センチになると、20センチの時にくらべて更に6dB下がって、84-6=78dBになります。
同様に、音源から80センチのところでは72dB、160センチのところでは66dBになります。
これはどういうことかというと、防音室のようなものに入れなくても、単に音源から離れていくだけで、1.6m離れれば測定値は66dBになるのです。
上記段ボール防音室の場合は、音源から1.6mの位置で測定値が60dBだったのですから、段ボール防音室の遮音性能は66-60=6dBにすぎない、ということになります。
このように音源との距離が大きくなれば測定値は小さくなっていくのですから(これを距離減衰と言います)、音源と測定位置との関係を無視して数値を比較しても、全く意味がありません。
まあ上記の段ボール防音室のことなどは、子供だましのようなことなのですが、建築工事として防音室を作る防音工事業者の中にも、完成後に騒音計で測定してみせるところがあります。
その場合も、例えば音楽室の中でピアノなどの音源に近いところで音量を測定した後、外に出て(つまり音源であるピアノから離れて)音量を測定して、ほらこんなに小さくなりましたと言われても、それはその防音室の遮音性能(透過損失)を表しているわけではないということに注意しておく必要があります。
いくつかの会社から似た仕様のものが売り出されているようですが、たとえば「だんぼっち」などという製品が代表的なもののようです。http://www.danbocchi.com/ で見ることができます。
ところで先日それらのうちの一つのサイトを見ていましたら、その段ボール防音室の内部での音量が90dB(デシベル)だったものが、その外側(防音室から1メートル離れたところ)で測ったら60dBになっており、すなわち30dBも音が小さくなりました、ということが書いてありました。
これだけ見ると、その段ボール防音室の遮音性能(透過損失)が、30dBあるように受け取れます。
30dBの遮音性能というと、どれくらいかというと、ヤマハのアビテックスの普及タイプの遮音性能が30dBなんです。
つまり段ボール防音室は、アビテックスと同程度の遮音性能がある!・・・ということになるんでしょうか?
(ちなみにアビテックスの値段は、最小の0.8畳のものでも約50万円しますが、それと同程度の大きさの段ボール防音室の値段は約8万円。)
問題は、段ボール防音室の音量の測定方法にあります。
まず室内での音量が90dBだったということですが、音源は何でしょう。そしてその音源からどれくらいの距離のところに騒音計を置いて測ったのでしょう。
仮に音源が防犯ベルとか目覚まし時計のようなものだったとして、その音源から10センチのところに騒音計を置いて測ったとしましょう。その測定値が90dBであることは、十分ありえることですので、これについては何も問題はありません。
問題は防音室の外で測った時のことです。1メートル離れて測ったということですので、音源(防犯ベルとか目覚まし時計)がその防音室の中央くらいに置かれていたとすると、音源と騒音計との距離は約1.6メートルくらいと思います。
ところで音というものは、当然のことですが、音源に近いところでは大きく聞こえ、そこから離れるにしたがって小さく聞こえます。数値としては、音源との距離が2倍になると、6dB下がります。
すなわち音源から10センチのところでの測定値が90dBだったとすると、20センチのところでは90-6=84dBになるのです。距離が2倍になると6dB下がるのですから、音源からの距離が40センチになると、20センチの時にくらべて更に6dB下がって、84-6=78dBになります。
同様に、音源から80センチのところでは72dB、160センチのところでは66dBになります。
これはどういうことかというと、防音室のようなものに入れなくても、単に音源から離れていくだけで、1.6m離れれば測定値は66dBになるのです。
上記段ボール防音室の場合は、音源から1.6mの位置で測定値が60dBだったのですから、段ボール防音室の遮音性能は66-60=6dBにすぎない、ということになります。
このように音源との距離が大きくなれば測定値は小さくなっていくのですから(これを距離減衰と言います)、音源と測定位置との関係を無視して数値を比較しても、全く意味がありません。
まあ上記の段ボール防音室のことなどは、子供だましのようなことなのですが、建築工事として防音室を作る防音工事業者の中にも、完成後に騒音計で測定してみせるところがあります。
その場合も、例えば音楽室の中でピアノなどの音源に近いところで音量を測定した後、外に出て(つまり音源であるピアノから離れて)音量を測定して、ほらこんなに小さくなりましたと言われても、それはその防音室の遮音性能(透過損失)を表しているわけではないということに注意しておく必要があります。
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