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建築家 & 音楽愛好家 の雑記帳

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2019-05-14 (Tue)  11:28

住まいの設計におけるノスタルジー性(なつかしさ)の大切さ

これまでたくさんの家を設計にたずさわってきました。
私は建築家(設計事務所)なので、ハウスメーカーのように規格型住宅をベースとする家作りとは違い、一つ一つの家においてクライアント(施主)さんと向かい合い、その意向を汲み取った家をつくることを仕事としてきました。
(ただし建築家のすべてがそのような考え方ではなく、自分の設計ポリシーを頑なに守る(悪く言えば押し付ける)建築家もおられることは私も承知していて、それを悪く言うつもりはありませんが)

そのような仕事の中で最近感じることは、クライアントさんがご自身の心において「なつかしさ」を感じられる家というものがあって、それを再現することを望まれているケースが増えているということです。
一昔前までは、そのようなクライアントさんは比較的少なくて、未来志向ともいえるようなモダンでシャープな造形の家に一種の憧れを持っているかたも多く、むしろそのような家を設計するのが建築家だと思われていたようです。
しかし、だんだんとそのような未来志向が影を潜めて、むしろ懐古志向とでもいうのでしょうか、自分の昔の「なつかしさ(ノスタルジー)」が感じられる家に住みたいという方が増えているように感じます。
そのことを懐古趣味という、いささかネガティブな意味合いを含んだ言い方でくくってしまうこともできるかもしれませんが、私はそのように一口に言ってしまえることでもないように思います。

昔、「住宅は住むための機械である」と豪語した建築家もいたと聞いていますが、その時代にはその時代の考え方があったとはいえ、現在においては通用しない言葉でしょう。なぜならば、家というものは、現代においては寛ぎや憩いという情緒的な安定のためスペースとしても意味合いが強く求められているからです。
そこにおいて、一人一人が持っているノスタルジー(なつかしさ)の再現というのは、住まいを設計する上においてのきわめて大切な要件であるように思われるのです。
私は最近のそのような住まいの設計思潮のシフトを、明るい気持ちで肯定的に受け取っています。

(次回は、それを象徴する二つのこと「ヴォーリズ設計の住宅」のことと「同潤会アパート」のことを述べてみたいと思います。)
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最終更新日 : 2019-05-14

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