fc2ブログ

建築家であり 音楽愛好家でもある 私の雑記帳

「霧笛荘夜話」に思う

浅田次郎の短編が好きで、殆どの本を単行本で買って持っている。
「鉄道員(ぽっぽや)」を初めて読んだときは、不覚にも涙がぽろぽろこぼれた。

その浅田の短編集の中でも、一番好きなのが、「霧笛荘夜話」だ。
霧笛荘というレトロなアパートを舞台に、その家主の老女と住人達の物語が展開するが、著者が描写するその建物の懐かしい雰囲気がとても良く、自分もこんなところに住んでみたいなあと思わせる。

私は、住宅の大切な要素の一つが、“懐かしさ”だと思っている。
それがそこに住む人の心を慰め豊かにする。
だから古いものは大切にしなければならないし、大きな価値があるのである。

そしてまた、私たちが設計し建築する新しい住まいであっても、そこになにか住み手にとって懐かしいものが感じられるといい。
またそこで大きくなる子どもたちにとっても、大人になったとき、その空間を懐かしく思い出すことのできるものでありたい。

その懐かしさというものは、住み手にとってみな違っていると思うが、設計のときの打ち合わせによって、それを上手く引き出せて、実現することができればいい。

そういうことを心に留めて、そしてそれを実現できるような建築家でありたい。
だから建築家は新しいものを創る立場でありながら、古いものも守ろうとするのである。

霧笛荘夜話

・・・浅田次郎 「霧笛荘夜話」 (角川書店)

スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://mearch.blog62.fc2.com/tb.php/9-b8b96624

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

 遠藤 真

Author: 遠藤 真
------------------
建築家(一級建築士)
建築音響アドバイザー
兵庫県神戸市在住
遠藤 真・安田倫子 設計室
主宰
http://www.me-arch.jp/
Eメール: endo@me-arch.jp
あしたの住まい・設計フォーラム
代表
------------------
音楽演奏家(アマチュア)
主にバロック音楽奏者として
ヴィオラ・ダ・ガンバ
フラウト・トラヴェルソ
ブロックフレーテ(リコーダー)
を演奏
神戸ホルボーンアンサンブル主宰
------------------
e_02.gif
banner_13.gif
にほんブログ村 住まいブログ 住宅設計・住宅建築家へ
にほんブログ村

カテゴリ

住宅設計全般 (23)
音楽 (17)
文化 (7)
未分類 (2)
写真 (0)
コロナとワクチン (0)

リンク

このブログをリンクに追加する

最新記事

月別アーカイブ

検索フォーム

RSSリンクの表示

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

designed by たけやん